男女ともに増加傾向の「便秘」
便秘は、排便が滞り大腸内に便が長時間留まる状態を指し、薬剤の副作用や腫瘍による大腸の圧迫などが原因で起こります。
3日以上排便がない場合には便秘が疑われます。
男女ともに便秘に悩む人は増加しており、特に20代後半や30代後半に自覚症状を訴える人が多いことが指摘されています。
年齢が上がるとともに男女差は減少します。
何日で出るのが普通?便秘の定義
便秘の定義には個人差があり、日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」としています。
この基準は、便秘の可能性を判断する際の目安となります。
また、排便の適切な回数には個人差があり、1日に3回程度の排便がある場合でも正常の範囲内とされています。
ただし、排便回数が多い場合に下痢や腹痛などの症状が伴う場合は、腸の運動が過敏になっている可能性があるため注意が必要です。
このような症状は便秘のサインです
便秘のサインには、以下のような不快感や自覚症状が含まれます
- 膨満感: お腹が張って苦しく感じる、ガスが溜まっているような状態で、おならがよく出る
- 残便感: 排便後もスッキリしない、まだ便が残っているような感覚
- 便が硬い: 水分不足により便が硬くなり、排便が困難になる。便はコロコロしていることが多い
- 排便に時間がかかる: 便意があるにも関わらず、便がなかなか出ない、または便を押し出すのに力が足りない
- 排便時の痛み: 硬い便を排便しようとする際に、肛門の粘膜が裂けて痛みを感じる
また、以下の症状が見られる場合は、便秘の可能性が高く、生活習慣の見直しや適切な対策を講じる必要があります。
症状が長引く場合は、医療機関を受診し、専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。
- 何日も排便がない
- 排便をしてもスッキリしない
- 排便時に痛みがある
- ガスが溜まっているようでお腹が張る
- 便が硬く、小さなコロコロの便が出る
- 便意はあるが、なかなか出ない
- 食欲がなく、吐き気がする
排便の仕組み
食物が消化されて大腸に入ると、そこで水分が吸収され便が形成されます。
便が大腸内に長く留まると、さらに水分が吸収され便は硬くなります。
便の移動は自律神経が制御しており、食物が胃に入ることで腸の運動が促され、便意が生じます。
しかし、ストレスが自律神経の機能に影響を与え、腸の動きが悪くなると、便秘に繋がることがあります。
便秘の原因
便秘の原因は多岐にわたり、主に以下のように分類されます。
機能性便秘
最も一般的なタイプで、生活習慣の乱れ、ストレス、加齢が原因で大腸や直腸、肛門の機能が乱れて起こります。
以下のように分類されます
弛緩性便秘
大腸のぜん動運動が弱まることで便が運ばれずに便秘が生じます。
特に高齢者や生活習慣が乱れている人に見られます。
直腸性便秘
便意を習慣的に我慢することで直腸の感度が鈍り、便意を感じにくくなるタイプです。
痙攣性便秘
ストレスなどにより大腸のぜん動運動に連続性がなくなり、便の通過に時間がかかるタイプです。
器質性便秘
大腸がんや手術後の癒着、炎症性疾患(例:潰瘍性大腸炎やクローン病)などにより物理的な障害が生じ、大腸の中を便が通過できないことで起こります。
薬剤性便秘
特定の薬剤(抗うつ薬、抗コリン薬、せき止めなど)の副作用で、大腸のぜん動運動が抑制されることで起こります。
症候性便秘
甲状腺機能低下症や副甲状腺機能亢進症など、他の疾患に伴う体内の機能的な変化が原因で起こります。
また、生理や妊娠中にホルモンの影響で便秘になることもあります。
便秘を伴う病気
便秘を伴う病気には、消化器系の疾患をはじめとして多岐にわたるものがあり、以下のような疾患が考えられます。
大腸がん
早期は無症状のことが多く、進行すると便秘や下痢、便が細くなる、残便感、腹部膨満感などが現れます。
がんの部位によって便通異常の症状に差があり、大腸の右側のがんは症状が少ないですが、左側のがんでは便秘・下痢などが起こりやすいです。
過敏性腸症候群
慢性下痢型、不安定型(便秘と下痢を繰り返す)、粘液分泌型など、便通異常を伴う腹痛や腹部膨満感が特徴です。
腸の運動が過剰になることや、ストレスなどによる自律神経の乱れが原因になります。
検査が必要な便秘とは
下記に当てはまる慢性便秘の方は、医療機関の受診をおすすめします。
- 大腸カメラ検査の経験がない50歳以上の方
- なかなか便が出ない方
- 貧血の方
- 血が混ざった便が出る方
- 何もしていないのに体重が減った方
- 細い便が出る方
便秘の解消する食べ物や生活習慣
カフェインの摂取
腸の運動を促進する効果があります。
ただし、カフェインの過剰摂取は避けましょう。
有酸素運動
定期的な運動は食物繊維の効果を高め、便通を良くします。
ウォーキング、ジョギング、水泳などがおすすめです。
食物繊維や水分の摂取
食物繊維は、便の量を増やし、通過をスムーズにします。
全粒穀物や野菜、果物、豆類などがおすすめです。
また、ウイフルーツ、プルーンには自然な便秘解消効果があるとされています。
食物繊維とともに、1日2リットル以上の水を飲むことで便秘が改善することがあります。
我慢しない
食後は腸が活発になるので、便意を感じたら我慢せずにトイレに行くことが大切です。