TOPへ

胃がん

日本人に多い「胃がん」

日本人に多い「胃がん」胃がんは、胃の内側を覆う粘膜の細胞ががん化する病気です。
胃は食道と十二指腸の間に位置し、脂肪やタンパク質などを消化し、少しずつ腸へと送り出す役割を担っています。
がん細胞は初め粘膜内に現れ、次第に胃の深い層へと広がります。
がんが胃の外側、漿膜まで達すると、胃の近くにある他の臓器にも影響を及ぼし始めます。がん細胞が胃の壁を深くまで潜ることによって、リンパ・血液の流れに乗って他の臓器へ移動(=転移)を起こすことがあります。

胃がんに初期症状はある?

胃がんは初期には自覚症状が少なく、進行すると胃痛や食欲不振、体重減少などの症状が現れます。
これらの症状は胃潰瘍にも似ており、正確な診断のため胃カメラ検査や組織検査(生検)が必要です。
早期発見・治療が重要ですので、ピロリ菌感染の既往がある方や症状があれば早めの検査をおすすめします。

主な症状

胃がんに初期症状はある?
  • 胃の違和感や不快感
  • 胸焼け
  • 吐き気
  • 食欲不振
  • 胃(みぞおち周辺)の痛み
  • 体重減少
  • 黒色便 など

胃がんの原因とリスク因子

胃がんは日本人に非常に多いがんだったこともあり、研究が進み、胃がんになる原因やリスクには、以下のようなものがあることがわかっています。

ピロリ菌感染

ピロリ菌に感染していると胃がんのリスクが6倍に増加するとされています。
特に50代以上の方で上下水道の整備されていない時代に生活していた人々に多く見られます。
40歳以上で胃カメラやピロリ菌検査を受けたことがない方は早めに検査を受け、ピロリ菌陽性の場合は除菌治療が推奨されます。

ピロリ菌感染についてはこちら

塩分の過剰摂取

塩分が多い食事を日常的に摂取すると、胃の粘膜が破壊され慢性的な炎症を引き起こし、胃がんのリスクが高まるとされています。

喫煙・飲酒

喫煙は胃粘膜の萎縮や慢性萎縮性胃炎を引き起こし、これが胃がんへと進行する可能性があります。
アルコールは代謝過程で発がん性のあるアセトアルデヒドを生成します。
特にアセトアルデヒドを代謝する酵素の活性が低い人が多量に飲酒すると、アセトアルデヒドが体内に長く留まり、胃がんを含む各種の疾患のリスクが高まります。

肥満

肥満は胃がんだけでなく、多くのがんのリスクを高める要因です。
肥満や運動不足は高インスリン血症を引き起こし、これが腫瘍細胞の増殖を促進すると考えられています。

胃がんになりやすい人の特徴

胃がんは日本で多く見られるがんの一つで、50歳前後から特に男性で発症が増加し、80歳代で罹患率が最も高くなります。
主なリスク因子にはヘリコバクター・ピロリ菌の感染、塩分の多い食事、喫煙、野菜や果物の接種不足があります。
また、ピロリ菌感染は慢性的な胃粘膜の炎症を引き起こし、胃がんのリスクを高める主要な原因です。

 

胃がんの検査・診断

胃がんの検査・診断胃がんが疑われる際には、がんの存在を確認し進行度を評価するために、段階的な検査が実施されます。
まず、内視鏡検査やバリウム検査を用いてがんの位置と存在を確認し、疑わしい部分から組織を採取して病理検査により確定診断を行います。
その後、がんの進行度(ステージ)を調べるために、主に造影剤を使用したCT検査を始めとする画像診断が行われ、場合によってはMRIやPET検査を追加して行います。腹膜播種(がん細胞がお腹の中に種を蒔くように散らばること)を起こし、大腸が狭くなっていないかを調べるために注腸検査などが追加で行われます。
これらの検査結果を基に治療方針が決定されます。

胃カメラ検査について
詳しくはこちら

胃がんの治療法

胃がん治療には様々な方法があります。
がんの性質やステージ、患者さんの体の状態などに合わせて治療法を検討します。
必要時には、対応が可能な病院をご紹介しますので、ご安心ください。

内視鏡治療

早期のがんで、がんが粘膜層に限定されている場合には、内視鏡を使用してがんを切除します。
体への負担が少なく、がんの切除後も胃が残るため食生活への影響も少なく済みます。
病理診断でがんが胃内に残ることなく切除できているか、治療後に再発するリスクがあるかどうかを評価します。

手術(外科治療)

がんの遠隔転移はないが内視鏡治療での切除が望ましくない場合、開腹手術や腹腔鏡下手術、ロボット支援下腹腔鏡下手術などを行います。
がんの進行度や施設の設備、医師の経験に基づいて手術方法を決定します。

薬物療法(化学療法)

進行・再発がんへの対処、手術後の再発予防、手術前のがんの縮小などを目的に行われます。
薬剤の種類には、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬があり、点滴または内服で実施します。
効果は、内視鏡検査やCT検査で評価します。

免疫療法

胃がんの治療のガイドラインにも記載されており、胃がん治療において効果があると証明されている治療療法です。 免疫チェックポイント阻害薬という種類の薬剤を使用し、治療を行います。
免疫チェックポイント阻害薬を使う治療法は、薬物療法(化学療法)の1つでもあります。